国民生活センターは、婚活サイトなどで知り合った相手に投資用マンションなどの購入を勧められて、相場より高く購入してしまったといった相談が多く寄せられているとして、注意を呼び掛けている。
どんなトラブルなのか? どういった点に注意すればよいのか? 国民生活センターの事例をもとに掘り下げてみよう。
相談事例の典型パターンはこうだ。
婚活サイトで知り合った投資コンサルタントなどと名乗る男性と数回のデートを重ねるうちに、資産運用に詳しいので、節税の助言をしようともちかけられる。そして、投資用マンションに向いていると言って、具体的な物件を紹介していき、知り合いの不動産会社に合わせて、売買契約を結ばせる。売買契約後にその相手とは連絡がとれなくなり、不安になって相談するというパターン。
相談者の多くは、都市圏に住む30~40代の女性会社員だ。相談事例のなかには、勧められて契約したマンションが相場より高額だったというケースもあるという。
勧誘の巧妙な手口として、以下のようなポイントが見えてくる。
国民生活センターでは、次の3つの問題点を指摘している。
つまり、マンションを購入できる相手に狙いをつけ、恋愛感情を利用して契約まで持ち込んでいるので、勧誘目的だったと気づくのに時間がかかり、問題の発覚が遅れるという構図だ。しかも、結婚を夢見た相手に裏切られた精神的ショックに加え、契約金額が大きく住宅ローンを抱えるなどの経済的な問題も残る。
こうしたダメージの大きさや相談数が急増していることから、国民生活センターは被害の拡大防止のために手口の周知を図り、注意を呼び掛けることに踏み切ったようだ。
ここからは、一般的なマンションの売買契約について話をしよう。
通常は、マンションの売買契約の際に価格の1割程度の「手付金」を支払う。この手付金は「解約手付け」と見なされるので、解約をする場合は、「買主は手付金の放棄」「売主は手付金の倍返し」をすれば解約できる。これを「手付け解除」という。ただし、「相手方が契約の履行に着手するまで」という条件がつく。
「契約の履行」とは、例えば売主が、買主の希望する間取り変更工事に着手したり、所有権移転の登記を済ませたりする場合のことで、契約の履行に着手した後では、手付金を放棄するだけでは解約できなくなる。つまり、最低でも手付金は手放さざるを得ない
「クーリングオフ」が適用されて無条件で契約を解除できる場合もあるが、これには「売主が宅地建物取引業者であること」、「事務所以外などの場所で契約を行った場合」などの条件がつく。通常は、マンションの販売センターなどの事務所で契約を行うので、クーリングオフは適用されないことが多い。
ただし、相談事例では、婚活サイトの相手が知り合いの不動産会社を紹介し、事務所ではない場所(ホテルのロビーやレストランなど)で契約を行っている場合もあり、売主が不動産会社などの宅地建物取引業者であれば、クーリングオフが適用できる。しかし、クーリング・オフに関する書面交付と説明を受けてから8日間が経過した後や、マンションの代金を全額支払って引き渡しを受けている場合などでは、クーリング・オフを行うことができなくなる。悩んでいるうちに、クーリングオフができなくなってしまったというケースも多いようだ。
売買契約の原則は、当事者同士の合意だ。相場よりマンションの価格が高かったとしても、双方が合意の上で契約を結べば違法とはならない。相談事例の場合は、実際に売買契約が成立しており、契約の対象となるマンションを引き渡すことができるため、詐欺などの犯罪行為が立証できない限りは無条件での解約が難しく、それだけに悪質な勧誘行為だといえるだろう。
国民生活センターの調査では、通常の消費者相談の契約金額の平均が143万円であるのに対し、確認できた投資用マンションの相談事例(71件)では平均が3012万円と高額になっている。個人が唯一多額な借金ができる「住宅ローン」を利用させることで、売りつける金額を引き上げているのだ。
くれぐれも、こうした手口には注意をしてほしい。
SUUMO住まいのお役立ち記事