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前川 ミチコ
2013年9月10日 (火)

9月中に契約しないとサッシの価格が2倍に? 真相を調べてみた

写真: iStockphoto / thinkstock

最近、家づくりを検討中の読者から、こんな問い合わせが相次いでいる。「9月中に契約しないと、サッシの価格が2倍になるというは本当ですか? 家一軒分のサッシ費用が100万円ほど高くなるらしいんです」…もし本当なら、消費税アップどころの騒ぎじゃない。実際どうなのか、真相を調べてみた。

発端は、一部のサッシ窓が「不適合」だったこと

事の発端は2011年3月、国土交通省が調べたところ、メーカーの一部の防火サッシが「国の耐火基準を満たしていなかった」というもの。

防火地域・準防火地域に家を建てる場合、建築基準法で定められた箇所に防火サッシを使う必要がある。その防火サッシには、延焼を防ぐため、ガラスが火災発生時の熱に20分以上耐え、窓枠から外れない構造であることがが求められている。

ところが、国土交通省の耐火試験の結果、一部の防火サッシがその基準を満たしていなかったそうだ。

それまで各メーカーでは、カーテンウォール・防火開口部協会が大臣認定を受けた「通則認定」の仕様に基づいてサッシを製造・販売しており、実際に個別に耐火試験をする必要がなかった。そして国土交通省の調査により一部の製品に不適合が判明した(不適合製品はすぐに販売中止となった)、というわけなのだ。

通則認定と個別認定の違い

【グラフ1】通則認定と個別認定の違い

また、「通則認定」を受けていたすべての製品が不適合だったわけではない。しかし、当時の国土交通大臣の発言により、これからは製品ごとに国土交通省に申請し、指定性能評価機関の防耐火性能試験をクリアして初めて認定される「個別認定」に切り替えていくことになった。また、これを機に各メーカーからはよりパワーアップした製品が続々と登場している。

●国土交通大臣の個別認定を受けた各メーカーの製品

「防火戸FG-H/S」LIXIL(トステム)

【画像1】防火性能を高めたのはもちろん、熱伝導率の高いアルミの露出面積を小さく、逆に熱を通しにくいガラス面積を大きくし、断熱性能、デザイン性もアップ。「防火戸FG-H/S」LIXIL(トステム)(画像提供:LIXIL)

 

「防火窓Gシリーズ アルミ複層タイプ」YKK AP

【画像2】Low-E網入り複層ガラスを標準装備したアルミ複層仕様の防火窓。サッシ枠補強や加熱発泡材、部品の一部を金属化し耐火仕様に。「アルミ樹脂複合タイプ」と合わせて、地域ごとに求められる断熱性能と防火性能に対応。「防火窓Gシリーズ アルミ複層タイプ」YKK AP(画像提供:YKKAP)

価格はアップしても単純な「2倍」にはならない

「通則認定」の製品は2013年内を移行期間とし、徐々に「個別認定」の製品への切り替えをはかり、2013年末をもって販売終了する(※2013年8月現在の情報)。しかし、このことによりサッシの価格が「2倍になる」というのは本当なのだろうか。

これまで述べてきたような背景から、個別認定の取得を行うとともに改良がされているため、サッシの価格が上がることは避けられない様子。ただし、「2倍」という数字の根拠は明らかではないようだ。

実際、通則認定の製品はサッシ枠のみの販売でガラスは別扱いだったが、個別認定の製品はサッシ枠とガラスがセットで販売されるため、製品価格は異なり単純な比較はできない。

加えて、防火地域・準防火地域の建物であっても、すべての窓に設置を求められているわけではないうえ、設計に工夫したり、一般の窓の前に防火シャッターを付けることにより、コストダウンが可能なケースもあるのだという。

●防火設備を求められる部分と、その回避によるコストダウン策

サッシの価格が2倍に? 真相を編集部が調べてみた

【画像3】建築基準法では「延焼の恐れのある部分」に対して防火設備の設置が求められており、すべての窓に設置の義務はない。「延焼の恐れのある部分」とは、隣接する建築物等が火災になった場合に延焼する可能性の高い部分のことで、隣地境界線または前面道路中心線から、1階は3m以下、2階以上の場合は5m以下の距離にある部分のこと。(画像提供:LIXIL)

 

サッシの価格が2倍に? 真相を編集部が調べてみた

【画像4】延焼の恐れのある部分以外に設置される開口部については、一般の開口部製品を採用することで、価格を抑えることができる。図のように、延焼の恐れのある部分への設置を回避することで、一般の開口部製品を使えるケースもある。(画像提供:LIXIL)

自分の目でしっかりと製品選びを

防火・準防火地域でサッシの選定方法は3つだ。
・個別認定製品
・設計の工夫や個別認定の防火シャッターなどを採用することで、個別認定の防火サッシのコストを抑える
・通則認定製品(※2013年8月現在の情報)

確かに、個別認定製品を選定した方が安心だと思うが、2倍とは言えないまでも防火サッシの価格がアップするのは避けられない。
コストを重視するのであれば、窓の大きさや位置をあきらめて防火サッシを最低限におさえる方法もある。
また、あえて通則認定の製品を選定することもできる。この製品は、移行期間の2013年12月まで流通している。注文住宅だと発注の関係上、締切はもっと前になるため、施工会社に確認が必要だ。

安心できる家に住みたいのか、設計にしばられてもコストを重視するのかを考え、しっかりと製品を選び、納得の家づくりをしよう!

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