三島といえば富士山と湧水という清らかなイメージの街。静岡県東部に位置し伊豆半島への玄関口でもある。そんな三島は新幹線で三島駅から新横浜駅まで最短で27分、品川駅へは最短で38分。通勤時間帯(平日6~7時台)の上り5本が三島駅始発で、リクライニングシートでゆったりと新幹線通勤できる利便性から、近年は市街地に中高層のマンションが建ち始め首都圏通勤、通学者が多い街といわれている。そんな市民の舌を喜ばせているのが老舗のララ洋菓子店だ。
スイーツ番長(以下、番長)「今年で創業80年だそうですね。都内でも洋菓子店としては、そんなに長い歴史を持つお店はまれです。」
菊川儀明(きくがわ のりあき)シェフ(以下、菊川)「1932年(昭和7年)に三島広小路の地に創業しました。私で三代目です。当初は洋菓子を売る蓄音機のある喫茶店として営業していたそうで、私の祖母が看板娘として70歳になるまで働いていました。2009年に他界いたしましたが、“三島に寄宿していた太宰治がそんな祖母を目当てに、毎日店を訪れた”という創業当時のエピソードが祖母を偲ぶ記事として静岡新聞に掲載されたこともありました。」
番長「さすが歴史があるところにはロマンがありますね。ところで創業からつくられているお菓子もあるのですか?」
菊川「昭和30年代からずっと店頭で人気の商品がベビーシュークリームです。」
番長「三代目シェフパティシエとしてのこだわりはなんですか?」
菊川「私のお菓子づくりは伝統への挑戦でした。本場フランスの研修で本格的で最新のフランス菓子に出会い、先先代からのララ洋菓子店のケーキづくりは、フランス菓子とは異なって古くさく野暮ったく見え、これからは自分が本場のフランス菓子をつくり販売していく、と粋がっていました。しかしお得意さまの声を耳にするにつれ、昔から親しまれ愛されているケーキには理由があることに気づかされました。それが伝統というものであり、お菓子本来の美味しさということなのです。それからは伝統は素直に受け継ぎ、確実に体得しノウハウとして次世代に伝えられるレベルに達してからアレンジしていく事に。現れては消えてゆく流行菓子はほかのパティシエたちに任せて“La toradition”を受け継ぐ事こそが、私の仕事と心得ています。」
番長「三島には首都圏に新幹線通勤されている方も多くいるそうですね。三島生まれのシェフにとって地元の魅力はなんですか?」
菊川「富士山と湧水は言わずもがなですが(笑)、やはり自然環境の素晴らしさですね。箱根西麓は南傾斜地で水はけのよい関東ローム層で、とても美味しい栄養豊かな野菜が露地栽培されています。三島野菜というブランドは人気があります。三嶋大社という拠り所や観光スポットもあります。ちなみに三島由紀夫(作家 本名:平岡公威)のペンネームは、この三島の地からとったそうで、由紀夫の“ゆき”は三島から見た富士山の雪に由来しているそうです。」
文化と歴史とそして人々の思い出が詰まったララ洋菓子店のスイーツたち。それは、舌で感じるだけの美味い不味いは、野暮に感じられるほどに魅力がある。これらのスイーツはHPから取り寄せできる。
●ベビーシュークリーム20個入り(950円)

昭和30年代の先代からの看板商品。香ばしく柔らかいシュー生地に、無添加のカスタードクリームの一口サイズの可愛いシュクリームは当時から変わらず愛され続けている。懐かしいホッとするおやつのおいしさがある。
●苺たっぷりロールケーキ(2100円)

ジューシーで程よい酸味と甘さの粒選りな静岡産の苺「紅ほっぺ」をたっぷり巻き込んだ、極太ロールケーキ。どこでカットしても苺の薫りが口いっぱいに広がり美味さ絶品。大人気商品で苺の入荷状況により、販売数が変動することもあるので、お求めの際は電話確認を。
●モンブラン(360円)
三島はうなぎの産地ではありませんが、富士山の雪解け水が豊富に湧く三島のうなぎは、その湧水にさらし活きじめするので臭みが抜けて美味しいと、県内外に評判が響き、各地から多くの方がうなぎを食べに三島に訪れます。当店の広小路本店のお隣は「桜家」という安政3年創業の老舗うなぎ料理屋で休日や食事時は行列になる。
1965年静岡県三島市生まれ。2男1女の父。辻製菓専門学校、辻調グループフランス校(シャトードレクレール)製菓2期春卒。1987年から東京・尾山台「オーボンヴュータン」に4年間勤務の後再渡仏。1993年帰郷、実家の洋菓子店を承継。現在「パティスリーララ」を3店舗を運営。静岡県洋菓子協会理事、県東部洋菓子協会会長。
パティスリーララ(萩店)
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