五反田~蒲田の東京南西部住宅街を走る東急池上線。走る姿はどこかのんびりしていて郊外のイメージも漂う。久が原は整然とした街並みに邸宅が並び、落ち着いた印象の住宅街の顔を持つ。そんな街のパティスリーとして愛されているのがラ スプランドゥールだ。
スイーツ番長(以下、番長)「以前は国内の高級フランス料理店のシェフパティシエを務められて、全国を飛び回っていたそうですが?」
藤川浩史シェフ(以下、藤川)「はい、各地の店舗のデザートの開発や製作に関わっていました。高級フランス料理店で最先端のデザートを追求し、つくる仕事はとても刺激的でやり甲斐がありましたし、グルメな方やお祝いの席で楽しんでいただけるのはとても充実していました。しかし、同時に自分のやりたいお菓子づくりとは段々とかけ離れているような気がしてきたのです。日々新しい物を求めて仕事をするというより、腰を据えてマイペースでお菓子づくりしてみたくなったというのでしょうか。最先端のお菓子づくりはもっと若い人に任せて…なんて言うと年をとった物言いになってしまいますが(笑)。」
番長「それが独立のきっかけで、店舗をここに出されたのですか?」
藤川「生まれは札幌ですが小学生ぐらいのころからこのエリアに住んでいました。今の自宅も店から歩ける距離にあります。」
番長「地元のようなものですね。」
藤川「はい。落ち着いて物づくり、お菓子づくりに励むのならば、土地勘のある場所で、親しみのある人たちにするのがいいのではないでしょうか。」
番長「久が原は田園調布にも隣接していて、住宅地のイメージもありますね。」
藤川「駅から奥まったエリアがそうで、僕が子どものころから邸宅街として知られていました。実は久が原には1959年創業の洋菓子屋さんがあるのですが、その絶頂期は全国からお菓子屋さんも見学に来るほどで、すでに半世紀以上も住民に愛されている老舗です。」
番長「当時は本格的な洋菓子は希少で高価でしょうから凄いですね。それが半世紀経った今でも、繁華街とは違うこの立地で営業を続けていられるのは、その店の実力もさることながら、高級住宅街という環境が要因なのかもしれませんね。」
藤川「そうですね。落ち着いてお菓子づくりをするには、この街はとても良い環境です。都心に在って流行のためにお菓子をつくりだすのではなく、暮らす人々に向けて美味しいお菓子を日々考え生み出していく。それが今ではこの店で実現できていますし、それは今後も追い続ける目標でもあります。」
La splendeur(ラ・スプランドゥール)とは「輝き」を意味する。柔和な表情と声に溢れるシェフが生み出すお菓子は、そのどれもが輝きに満ち、美味しいものばかりであった。
●キャラメル・ポワール(472円)

キャラメルムースの中には洋梨のババロワ、洋梨のブランデーでマリネをした洋梨とキャラメルソースが潜む。甘さのまかにほろ苦さが屹立し、洋梨の薫りとカラメルの香ばしさに、うっとりとしてしまうほどに美味。
●アルモニー(493円)

ホワイトチョコレートのムースに苺のマーマレードとピスタチオのクリームが潜み、その調和はとてもリッチなイチゴミルク味に。プラリネ香ばしきフィユティーヌ(小麦粉とバターで薄く焼いた生地を砕いたもの)が、サクサクとした食感とあいまって、おいしさもひとしお。
●プディング・オ・パン(380円)

ケーキづくりにアーモンド、チョコレートといった多様なスポンジ生地をつくり使用するが、それらをパーツとして用いた、お菓子屋さんのビスキュイ(生地)オンパレードといった、良いとこ取りのパンプディング。ラムレーズンがたっぷりで、大人が美味しく楽しめます。
1970年北海道生まれ。辻調理師専門学校フランス校卒業後、パティスリー「ピエールドール」に勤務。
La splendeur(ラ スプランドゥール)
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