住まいの雑学
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冨成 マサキ
2012年7月13日 (金)

意外に知らない都市ガスとLPガスの特長、徹底比較

郊外の住宅でよく見かける「LPガス」。ガスが軒下などに置かれたガスボンベから供給されるという、供給方法以外、都市ガスと違いがないと思われがちだ。しかし、「LPガス」と「都市ガス」をくらべてみると、ガスの成分、発熱量、費用など、意外と違いがあるのだ。今回は、それぞれの特長と違いを比較してみよう。

「LPガス」はブタンやプロパン、「都市ガス」はメタンが主成分

そもそも「LPガス」とは「液化石油ガス」を意味するもので、圧縮すると常温で液化しやすいブタンやプロパンを主成分としたガス燃料のことだ。常温でも8気圧と比較的低い圧力で液化するので、ボンベに充填して運搬がしやすい。そのため都市ガスのインフラが行き渡っていない郊外や、地方都市などで現在も広く家庭用の熱源として利用されている。

一方、「都市ガス」は、張り巡らされたガス導管を通じて供給されるガスを指すもので、天然ガス(メタン)を主成分とするガス燃料だ。ブタンやプロパンと違って、液化するには圧縮するだけでなく、約マイナス160℃以下まで冷やす必要がある。そのためボンベなどでの運搬には適さず、地中に張りめぐらせたガス管を使って気体のまま家庭に供給される。

都市ガスはガスの種類によって専用の器具が必要

ガスの成分や発熱量が異なることによって、注意しなければならないのは、供給されるガスに適した器具を用意しなければならないことだ。「LPガス」の成分は日本全国ほぼ同じ。そのため、ガスコンロなどの器具は「LPガス用」と表示してあるものなら全国どこでも使える。ところが気をつけなければならないのは都市ガスで、下図のように原料や製造法、発熱量の違いによって7つのグループに分かれる。このため引越しなどで、供給されるガスの種類が変わった場合は、器具の調整や買い替えをしないと安全に使用できない。

■ガスの種類と取扱い会社   ※参考データを元に筆者が作成
■ガスの種類と取扱い会社   ※参考データを元に筆者が作成都市ガスには原料や製造法、発熱量の違いによって7つのグループに分けられる

都市ガスは公共料金、LPガスは自由料金

成分だけでなく、「都市ガス」と「LPガス」では、料金区分も異なる。日本国内の都市ガス事業者は、東京ガス、大阪ガス、東邦ガスなど大手を含め約200社。都市ガス事業者が消費者と直接契約し、ガスを供給する。料金はいわゆる公共料金で、事業者が勝手に料金を設定することができない。また料金体系がLPガスにくらべて分かりやすい。

一方LPガス事業者は全国に数万社あるといわれているが、元売り、卸、小売りと販売業態もさまざまで正確な数は分からない。料金もいわゆる自由料金で、公的な適正価格やガイドラインはなく、販売店の裁量にまかされている。そのため同じ販売店から買っている場合でも、契約の仕方や時期で値段が違い、請求された料金が高いのか安いのか比較しにくい。

ランニングコストはガス会社などのサイトで確認できる

ではランニングコストで考えた場合どうか。
まずLPガスと都市ガスでは発熱量が違うので、単純にガスの使用量をくらべても損かトクか分からない。そこで東京ガスのホームページでは、同じ熱量を出すのに必要なガスの量から換算。プロパンガス20㎥は都市ガス(東京ガス)約44㎥に相当するとしている。この条件でくらべてみると東京ガス44㎥の料金は約7100円。これに対してエネ研・石油情報センターによるLPガス20㎥の首都圏平均価格は約1万1200円となる。

いま使っているガスの種類と使用量が分かれば、下記のサイトにアクセスしシミュレーションしてみよう。LPガスと都市ガスの料金の差がザックリ理解できる。

東京ガス (http://e-com.tokyo-gas.co.jp/lpgchg/#step_result)
一般社団法人 プロパンガス料金消費者協会(http://www.propane-npo.com/index.shtml)

導入時の費用が高い都市ガス。LPガスは設備費用を分割して払う

都市ガスにしろLPガスにしろ利用するにはガス管や料金メーターなどの機器の整備が不可欠だ。こうした周辺機器の設置費用はどちらも利用者が負担する。ただしこの設備費用の利用者への請求方法が異なる。
都市ガスでは利用開始時に設備費用として一括して請求。したがって一旦都市ガスを引き込んでしまえば、あとは毎月ガスの使用量だけを払えばよいが導入時の費用は高い。

これに対してLPガスでは毎月のガス使用量にガス管や料金メーターなど設備費用を上乗せして請求するのが慣習となっている場合が多い。そのため導入時の費用はかからないが、毎月のガス料金に設備費用が上乗せされる。コストを比較する場合、初期費用とランニングコストを足しあわせて、比較するのが良いだろう。

ガスボンべが原因の事故は極希

ガスが充填されたボンベが爆発するのでは?と心配する人は少なくないはず。しかし実際に起こった事故のうちガスボンベ自体に問題があったのはごく一部。平成22年に起きたLPガスの漏洩事故205件のうち容器(ガスボンベ)から漏れたケースはバルブ部分を含めても12件と一割以下だった。大半は配管やガス器具の不備など都市ガスでも起こりうるものだった。(高圧ガス保安協会平成22年度 液化石油ガス関係事故年報 【PDF:34.2MB】)

むしろLPガスで注意すべきは、LPガスが空気より重い点だ。漏れた場合、空気より軽い都市ガスは換気扇など通常の換気経路を通じて排気される。だが空気より重いLPガスは地下式など建物の低い部分にたまりやすく、ガス漏れの際に室内にガスがたまり、事故になる可能性がある。ガス漏れ検知機も都市ガスとLPガスでは設置する場所が異なるので注意が必要だ。

「ガスボンベが空になる」なんて過去の話。メンテナンスの手間はほぼ同等

LPガスを使ったことがない人ほど「ボンベが空になったら」と心配しがち。だが現在は販売会社が各家庭のボンベの残量をコンピュータ管理しているので利用者は心配する必要がない。またガス漏れや地震の際にガスを自動で止めてくれるマイコンメーターは都市ガス、LPガスともほぼ100パーセント普及しているので、使い勝手はほぼ同等。ただ高圧の液化ガスを気体に戻す圧力調整機や高圧ホースなどLPガスのほうが保守点検する場所が多い。

災害時、復旧が早いのはLPガス。エコ性能はほぼ同等

地震や台風など広域災害に強いのはLPガス。ボンベと配管、ガス器具の安全性が確認できれば、すぐに利用が再開できるLPガスは、東日本大震災をはじめ過去の大きな地震などでも注目された。東日本大震災では被害の比較的軽かった地域ではLPガスを使ってすぐに炊き出しが行われるなど、災害に強いLPガスを改めて印象づけた。
エコ性能については、気になる二酸化炭素の排出量(「単位熱量当たりの排出係数を原油を1として指数表示」を参照)でみると、石炭はもちろんガソリンや灯油などとくらべてLPガスも都市ガスもかなり少なく、ほぼ同等のクリーンエネルギーといえる。

このように、LPガスと都市ガスでは、供給方法だけでなく、その特長も違う。もしガスの種類を選べるのであれば、一度メリットとデメリットを比べてみるのもいいかもしれない。

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