【連載】スイーツ番長presents:パティシエのいる街には幸せが住む Vol.44
東京メトロ副都心線との接続が今年度(2012年度)中に見込まれる東急東横線。みなとみらい線・東急・メトロ・西武・東武の直通運転により首都圏を南北に貫く新たなルートが実現する。そんな東急東横線祐天寺駅近くに、この5月、新しくジェラート専門店が誕生した。本場イタリアでジェラートを学んだ男がつくるそれは、美味しさとこだわりからお取り寄せジェラートとして人気を博し、伊勢丹や三越の催事でも話題となる。オーナーの茂垣シェフは2012年2月に行われたジェラートワールドカップ「2012 コッパ・デル・モンド・デラ・ジェラテリア」に日本チーム代表メンバーとして出場。日本人ジェラート職人として大いに注目を浴びた。
スイーツ番長(以下、番長)「駅から十数秒という立地ですが、一見、何屋さんか分からない雰囲気ですね。謎めいていてインテリジェンスも感じられて、思わずのぞいてみたくなります。」
茂垣綾介シェフ(以下、茂垣)「アイスクリームコーンの看板や写真を掲げ、“ここがジェラート屋です”とはしたくなかったのです。観光地や繁華街の不特定多数のお客さんが多いところでは、ひと目でジェラート屋と分かるようにしたほうがいいのでしょうが、ここを毎日通る地元の方に“ここは何の店だろう?”と、のぞいてもらい声をかけていただいて、商品や店の魅力、そして美味しさを知っていただきたいのです。」
番長「それで祐天寺に出店されたのですか?」
茂垣「当初は代官山など、こだわりがある街に出店を考えていたのですが、ちょっとイメージとは違いました。土日はにぎわいますが、平日は活気というか生活感が伝わってこない。それでなんとなく各駅停車駅の祐天寺に降り立ったのですが、静かながら住んでいる人でにぎわう素敵な街という印象でピンときたのです。そうしたら、偶然にもこの場所が見つかりまして。」
番長「ここに出店される前もジェラート工房をやられていたそうですね。」
茂垣「オンラインショップ専門店でした。伊勢丹さんや三越さんの催事に出店もしていました。もともとは料理人でイタリアに修業に行った際に、どこの街にも普通にあるジェラートに魅せられました。数多い店の中から自分好みの物を見つけて楽しんでいましたが、帰国してみると日本にはまだまだ本格的なジェラート屋さんがなくて、好みのジェラートも見つからず、だったら自分でつくってしまおう、と工房を始めたのです。」
番長「シェフのジェラートづくりのこだわりは何ですか?」
茂垣「技術的なことはマシンが行ってくれますから、それよりは素材に関する意識や想いですね。アイスクリームなどはいわゆる“生鮮品”といえます。原料もミルクやクリームそしてフルーツやチョコレート等と極めてシンプルです。だからこそ食材には気を遣います。だからといって高価な食材を使用すれば良いというものでもありません。食材の価格は生産量や流通事情などさまざまな要素によって決まるので、必ずしも価格が品質に比例するわけではありませんね。僕は素材を自分自身の舌で確かめ、時には生産地に出向いて目で確かめたりもしてきました。メニューは季節やその日の天候によって考えます。蒸し暑いときはさっぱりしたものを取りそろえたり、雨の日は、わざわざ足を運んで下さるお客さんへの感謝として、原価的にもスペシャルなものをお出ししたりします。ショーケースはステンレス製の蓋付の容器を使用しているのも鮮度への配慮です。オープンスタイルのものは華やかで美味しさが目に伝わり魅力的ですが、僕は常にジェラートが空気に触れているのが気になってしまって、このようなスタイルにしています。」
番長「そこまでこだわるジェラートの魅力とはなんですか?」
茂垣「ジェラートは、今、この場で食べてもらえるので、ダイレクトにお客さんの反応がうかがえることです。“おいしい”と笑顔を見せていただけるのが最大の歓びです。祐天寺駅周辺は色々な層の方が住んでいる味のある住宅街という感じを持っています。古くからあるお店や今風のちょっと洒落た雑貨屋さんや洋服屋さんなどもあり、そんな街の一部として、みなさんの美味しい笑顔を振りまく店になれたらいいなと思っています。」
●キバナ、くるみ(2種盛り540円、コーン40円)
●チョコレート、シナモン(2種盛り540円)

チョコレートは夏にサッパリと味わえるよう、カカオの酸味と香りを意識した仕上がり。シナモンは樹皮をアイスクリーム生地に浸すことにより、繊細な香りづけをしている。素材そのものの風味を楽しめるジェラート。(カップはテイクアウトも可、ドライアイスは別売)
●本日のソフトクリーム(500円前後)
駅名や町名の由来にもなっている、創建1718年(享保3年)の浄土宗の名刹。広い境内には享保年間に建立された仁王門や鐘楼文化財も見られる。毎年7月に開かれる「祐天寺み魂まつり」と「子ども盆踊り大会」は、庶民のイベントとして、毎年多くの人出でにぎわう。
1981年神奈川県出身。1998年横浜市内のレストランに勤務の後イタリアに渡り、ローマのレストラン、トスカーナ州のジェラテリアに勤務。2007年、オンラインショップのジェラート専門店アクオリーナ開設。2008年には再びイタリアに渡りウンブリア州のミシュラン星付レストランでスーシェフを務め、さらにジェラテリアで勤務。のちに日本に戻りアクオリーナを再開、2012年5月に祐天寺に店舗を構える。イタリアの国際ジェラート大会では過去に二度の入賞経験があり、定休日にもプロ向けの講習会講師として全国を飛び回り、美味しいジェラートづくりに余念がない。
GELATERIA ACQUOLINA (ジェラテリア アクオリーナ)
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