中古住宅などで、値下げした場合の価格を堂々と表示できるようになった。これまでは、二重価格の表示が許されていなかったが、5月31日に不動産広告の表示規約が変更されて、それができるようになったからだ。
不動産公正取引協議会連合会が申請していた「不動産の表示に関する公正競争規約」及び「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」の一部変更が、5月17日に公正取引委員会委員長と消費者庁長官より認定・承認を受け、5月31日に施行となった。申請は昨年の12月15日付けなので、既に変更内容は分かっていたが、ようやく施行という運びになった。
【変更点(1)】二重価格表示の緩和
業界の自主規制ルールである不動産広告の表示規約では、これまで一定の条件を満たす新築住宅を除き、二重価格の表示を禁止していた。二重価格とは、例えば「4000万円→3500万円」のように、値下げ前の価格を同時に表示することだ。不当に安く見えることを懸念してのことだが、次のような場合は二重価格の表示が許される。
“4000万円の価格であることを広告やパンフレットなどで公表して、販売し続けていたマンションを、3カ月以上たってから3500万円に値下げしたことを、時期を記載して広告する場合”
つまり、安く見せるために一時期だけ高く価格設定し、すぐに値下げ価格で売ろうという行為をさせないためだ。以前は「新築後2年以内の未入居の建物」に限定していたものを、中古住宅や土地についても認めるように緩和された。
【変更点(2)】畳1枚の面積の統一ルール
6畳の和室でも、実際には畳の大きさが違えば面積が異なるため、1畳を1.62㎡に換算した畳数で表示することとされていた。つまり、6畳=9.72㎡となる。これには、例外ルールがあり、「中古住宅の場合は、1畳が1.62㎡未満でも1畳当たりの面積を表示すればよい」ことになっていた。この例外ルールが、今回の変更でなくなった。
今から買ったり借りたりしようとする住宅の広告で、「和室6畳※ただし、1畳を1.6㎡で計算」などといったものがあれば、販売や仲介をする不動産会社の信頼性を疑ったほうがよい、ということになるだろう。
このほかにも、細かいルール変更はあるのだが、消費者が押さえておきたいのは主にこの2点だ。
二重価格表示は、バブルの産物だ。高い価格で販売したものの売れ残ってしまった物件を処理するために、価格を下げざるを得なくなり、値下げの広告が求められたからだ。その後、バブルが崩壊し、土地を高値で仕入れた物件が大量に売れ残り、同様に値下げをして販売するという事態が生じた。公団住宅でも値下げ販売を余儀なくされたが、一部で値下げ前の購入者から訴えられるということにもなった。このように、販売中に表立った値下げをしたら、既に購入した人から当然クレームが来る。既購入者への補償も必要になってくるので、現状では二重価格を表示して値下げ販売をするケースはあまり見られない。
一方、リーマンショック後には「アウトレットマンション」という新しい値下げ販売方法が登場した。売れ残った住宅を早く処分するために、安く買取業者に売ってしまい、買取業者が次の売り主となって分譲時の価格よりも値下げして一般に販売する方法だ。売り主が変われば、表立った値引き価格を表示しやすくなる。元の売り主が自ら二重価格を表示して値引きするより、手早いということだろう。
また、新築住宅と違って1戸単位で取引する中古住宅の場合、「売り主の希望価格」に始まり、市場での「売り出し価格」と「購入者の希望価格」を調整し、「売買(成約)価格」で決着するというように、価格は一律ではない。販売中に値下げをすることも自由なので、あえて値下げ前後の価格を表示するメリットは少ないように思われる。
もちろん、売り主が新築で購入した価格で売りたいという強い意志があり、3カ月間その価格で売ってみて、売れないから相場に見合う価格に値下げするというケースもあるだろう。しかし、長期間流通市場で売ってから値下げをしても、売れ残り物件という印象が残ったり、もっと下がるのではないかと様子見をされたりという可能性があるので、適正な相場価格で短期間に売ることを仲介会社は提案するはずである。
むしろ、新築のアウトレットマンションと同様に、買取業者が中古住宅等を買い取ってリノベーションをしたうえで再販する場合に、「2500万円→リフォーム後2500万円」などの表示をすることは考えられるように思う。
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