昭和30年代に建てられた団地を再生し、若い世代を呼び込もうという動きがある。仕掛けたのはUR都市機構。その第1弾が京都市伏見区でスタートした「観月橋団地プロジェクト」だ。古い団地の建物はそのままに、中を斬新に改修するリノベーション。お洒落に変身した住空間は、2月に行われた第1回募集でなんと定員の3倍の申込者が殺到! これからの住まいのあり方の先駆けとなりそうな試みだ。
観月橋団地は近鉄「桃山御陵前」駅から徒歩10分弱、昭和37年に建てられた団地だ。京都・伏見の歴史と伝統を感じる街並みの中に、古い団地が十数棟並ぶ。 再生プロジェクトの企画・デザインを手掛けたのは(株)オープン・エーの馬場正尊氏と(株)星田逸郎空間都市研究所の星田逸郎氏。星田氏は(株)DGコミュニケーションズと共同で参加。UR都市機構と民間が手を組んで大規模な住まい作りにチャレンジしたのは今回が初めてだ。今をときめく気鋭の建築家の手によって、団地のイメージは見事に一新。新しい住空間が誕生した。
今回の間取りは1LDK、2LDK、ワンルームでプランは6タイプ。
オープン・エーが手掛けた1LDKは、もともと和室2部屋+狭いキッチンという典型的団地スタイルだった。その部屋の壁を抜き、和室をすべてフローリングの洋室にし、LDKの真ん中にアイランド型のキッチンを据えてお洒落な間取りに仕上げている。洋室との間の引き戸を開ければ、広めのワンルームとしても使える。シングルはもちろん、新婚カップルにもぴったりだ。
さらに斬新なのが〝土間プラン〟。玄関から大きな土間が広がっており、自転車やスケートボードなど趣味の道具を置いたり、靴や雑貨などを見せる収納スペースとしても使える。住む人の想像力次第でいくらでも楽しくお洒落な空間になりそう。
星田逸郎氏とDGコミュニケーションズのプランは、配線・配管をすべて白いダクトプレートに入れ込み、すっきりとオープンな空間を作り出しているのが特徴だ。床はムク材のフローリングを使用し、白い壁と相まって明るくナチュラルな雰囲気を醸し出す。また、和室は耐久性の高い樹脂畳を使いモダンな内装にすることで、ベッドやソファーも似合う空間に。
古い住居で心配なのは水回りだが、建築時にはなかった洗濯機置き場を確保し、キッチンと浴室は一新。浴槽を取り払ってシャワーブースだけにした部屋もある。いずれの建築家のプランも「え? これが団地!?」と思わず言いたくなるほど、新しくて個性的。リノベーション特有のレトロ感もプラスされ、若い世代の心をつかんだようだ。
団地には都心マンションとは違った魅力がある。建物と建物の間の広いスペース、数十年をかけて育った青々と茂る木々…。特に桃山台に建つ「観月橋団地」は周辺に高い建物がなく、5階など上層階の部屋から見える山々や街なみの景観は開放感にあふれている。
また、住戸の形状も団地特有のもの。一般的なマンションは玄関からバルコニーが縦長の住戸が多いが、団地は正方形に近い形状が主流だ。奥行きが短いので、南の部屋からの光が北の部屋まで届き、住戸全体が明るく、通風も良い。窓を開けた時の風がさーっと流れる気持ち良さは格別だ。
家賃は3万円台から5万円台。今回リノベーションした60戸のうち、すでに2回の募集で44戸の入居者が決まった。2回とも即日満室になったという。残り16戸は4月上旬募集の予定。
■観月橋団地プロジェクト
http://kangetsukyo-danchi.jp/
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